


ロック青二才
vol.005 「いけず石とロック」
2次元から3次元まで、「ロックなあいつ」にスポットを当てる連載。
第5回目はとうとう石。ロックだから石とかふざけてるわけじゃない。
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また失言辞任…これでいったい何人目だろう。政治家の言葉が重みを失っている。いちいちあげ足取るなよマスコミ!と思ってしまうのは
、
逆に失言オンパレードに慣れてしまっているということでもあり、それはそれで怖い。どうでもいいことだが、
でもそのどうでもいいことさえ守れないというのは
やはり危機管理能力の欠如であり、そんな人間に国のかじ取りを任せるのは不安だ、と巡り巡って思ってしまう。
言葉の重みがなくなったのは何故か。最近の総理や閣僚の発言に注目してみた。「議員生命を賭してでも」「私のことはいいんです」
「私は火だるまになるだろう」
…いずれも、本来は公人たる議員なら当たり前の姿勢であり、敢えて口にする必要などない。「僕は身を粉にして頑張ってるんです」
そう口にしてる時点で、大部分の政治家が粉骨砕身働いてないと言っているようなもので、結局自己保身にしか映らないのだ。
まして行動の伴わない口先だけの「努力」は、薄っぺらく、虚しい。むしろ、喋らず黙々と行動する人間の背中の方が、人々に訴えかける力は大きい。
京都の街かどのあちこちで目にする、いけず石というものをご存じだろうか。道行く車が自分の家の塀をかすらないように、
曲がり角に大きな石を置いて邪魔するというものだ。張り紙よりも何倍も効果があり、それでいて冷たさもある。
ただし、「これ以上は入ってくるな」という線引きは、近づき過ぎることで生じる人間関係のトラブルを回避し、
和を保とうとする京の千年の歴史から生まれた生き抜く知恵なのかもしれない。
「いけず」。品のある意地悪。いやそれは意地悪なんかじゃない。松尾芭蕉は「謂ひおほせて何かある
(全て言い尽してしまって、一体何の意味があるというのか)」と喝破した。敢えて言葉にせず、「分かれ」「察しろ」の文化。男は黙って
……それでも喋りたいか。伝えたいか。音にしたいか。そういや松尾芭蕉のあまりに有名過ぎる句にこのようなものがある。
「静けさや 岩にしみ入る 蝉の声」…静かすぎて、うるさい。心臓の鼓動や耳鳴りや空調の音が脳内を支配する。
それでも、六弦をかき鳴らしたいか。鼓を打ち乱したいか。何の言い訳も解説も伴わない、轟音。それが、ロック。
鈴木亮介(フリーランスライター・ジャーナリスト/BEEAST編集部)
ロック青二才 vol.006 「酢豆腐とロック」
2次元から3次元まで、「ロックなあいつ」にスポットを当てる連載。第6回目は江戸落語の名作より「酢豆腐」。
暑さでイラつく町人たち。日頃から通人ぶっている伊勢屋の若旦那に一杯食わせてやろうと、腐った豆腐を差し出す。
若旦那は酸っぱい顔をしながら「これは『酢豆腐』という食べ物だ」と最後まで言い張る…
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スティーブ・ジョブズの死は世界中に大きな衝撃を与えたが、同時に、彼はその偉大な功績とともに今後も人々の記憶の中に生き続けるなと確信した。
オバマ大統領の発表した声明の中にその答えがある。「世界中の多くの人々が、彼の訃報を、彼自身が発明した道具で知ることになった。
それこそが何よりも彼の成功に対する最大の賛辞かもしれない」…今この世界には存在しない世界を想像し、創造つまりそれを実際に形にする。
科学はロックンロールだと茂木健一郎は言うが、本当にその通りだ。
死してなお、生きる。そのために必要なものは何か。それは、死ぬほど生きるたくましさだ。関西では調子に乗るやつ、
ダサいのに格好つけてるやつのことを「あいつイキりだよな」とか「イキるなよ」と言う。思うに、生きるとはイキることだ。
嫌われることを恐れず、上から目線で爆走するやつにしか、新しい世界の扉は開けないんだ。
何でも知ったかぶりをする伊勢屋の若旦那。「バカ旦那」と陰口を叩かれ、ついには腐った豆腐(ってのも面白い表現だ)を食わされる。
悔しい思いをしただろう。でも、馬鹿を見たのは実は町人たちの方なんじゃないか。「腐った」と決めつけているうちは、
酒にもブルーチーズにも一生出会えないのだから。
鈴木亮介(フリーランスライター・ジャーナリスト/BEEAST編集部)
≪P.S≫ 9.23 JYOJI-ROCK出演者の皆さんお疲れさま!本気でぶつかって勝負してこそバンドは進化するし、
ファンも、仲間もできる。人を蹴落とし、傷つける勇気を持て!
ロック青二才 vol.009 「終わりとロック」
2011年ももう終わろうという12月30日、ムーンライダーズの最後のライブを取材した。無期限活動停止を発表し、
12月に一本ライブをやった後はどこのメディアにも登場せず、この30日のタワーレコード新宿店屋上での限定無料ライブと、
翌日のファンクラブ向けイベントを最後に、35年の歴史にあっけなくピリオドを打った。
「無期限」の「休止」なので、それはピリオドでないのかもしれないし、今後の活動についても一切は謎のままだ。
それはまるで、40年以上前にTHE BEATLESがロンドン・アップル社の屋上でいわゆる「Rooftop Concert」を行ったのをなぞるかのように…と思っていたら、
冒頭、Get Back?と一瞬思うようなアレンジで演奏がスタートしたから、やっぱりそうなんだなと確信した。
そうして、メンバーは特段緊張することも悲しむこともなく、普段通りのムーンライダーズを披露した…そんな印象を受けた。
ただ、心なしか急いでいるようにも見えた。一体どこへ行くんだ?と思うような。まぁそうはいってもたっぷり10曲披露してくれたのだが。
「空がきれいだ…正月みたいな空だ」大きな独り言のようなあの口調で、鈴木慶一が言う。見上げると、雲ひとつない真っ青な、
快晴の東京。アンコールは急遽予定を変えて、晴天にちなんだ「トンピクレンッ子」。
サビの「ワッホッホ!」で右手を挙げるお客さんと一体感溢れる約4分。こんなに軽やかな去り方が、あってたまるか。
…なんてことを思う間もなく、6人の「ライダーズ」たちはあっという間に走り去ってしまった。そう、走り去ったのだ。
この中に何人還暦がいるんだ?なんてことを微塵も感じさせないパフォーマンス。爆音轟音ギラギラメラメラじゃないけれど、
今なお甘酸っぱさを表現できるステージングは、ロック以外の何物でもない。
「これでオーディション受かったかな?来年からはタワーレコードのレジだ!」そんなセリフを残して、彼らはステージを降りた。
結局のところ、彼らはこれで終わりなのか?なんだか、何の脈絡もなく三か月後にはまたレコーディングをして、
そしてステージに立っているのではないかと、そんな気さえする。
終演後、ファンがこぞって皆青空をケータイカメラで撮影していた。ピーカンに、青い青い空。遠くに昼の月が見えた。
鈴木亮介(フリーランスライター・ジャーナリスト/BEEAST副編集長)