-----ドン・マツオ×GB の、「やるぜ!」--------

第二回集会 6月某日

D:ドン・マツオ
F:用務員藤崎
S:先本GB店長

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D:今日はロックの現時点について……。
F:お!
S:難しい・・・・

D:(笑)ボクは今は過渡期だと思ってるんです。
60年代、70年代と、Elvisに代表されるRock'n'Roll
から始まったRockは若者のパワーの爆発へと繋がり、
Woodstockを通過して、産業としても巨大になってしまった。

そこで、膨れ過ぎたミュージック・ビジネスに対してのアンチテーゼの
Punkムーヴメントもあったものの、
それも破れ、80年代は更に拡大し過ぎてスタジアムへ、一方、
ハードコアなものは地下へと2極化した。
そこに揺り戻しの90年代グランジと歴史を重ねて来て、なんとな
く10年ごとに節目があったでしょう?
でも2000年代はそれまでの様な大きな変化は無く、今になってい
るような気がするじゃないですか。
もう10年たつというのにさ。

F:ふ〜む、ルーツから辿って来てみるとそうですね。
今は特化したスターも居ない様な....
ムーヴメント的なものも無いかなぁ....

D:多分、そういうのは出ないんだと思う。今は個人がそれぞれの好む
ものを選べる時代でしょう?
多様化してるんだよね。昔みたいに大きな一括りにできるようなカテゴ
ライズはできないんじゃないのかな。
『みんな』がこれが好き、みたいにはなりづらいんだと思う。良くも悪
くも、個別化してカスタム化している時代。
だから今までと同じような発想や着眼点では『今』のロックの姿は見え
てこないんですよ。
でも、ハッキリとロックは進化しているし、新しい方向に向かっている
と思います。

S:なるほど...。で、それはどういう?

D:とにかく自分が好き勝手やるという(笑)。
例えば、HIP HOPの奴らなんかは楽器が出来なくても、自分達の
意思を音楽にしてたじゃないですか。
音楽を作るのに手段を問わない。そこには強い『前進する意思』があっ
てさ。
それと同じ感じでロックをやっているというか、
まずギターを練習して、コード覚えて、メンバー集めてではなくて、
二人しかいなければ、それでやっちゃうし、機材もムチャクチャに我流
で使うしね。
無茶なんだけど、だからこそ、すごくエキサイティングなんだよね。
手段を問わないんだよ。『前進する意思』を持っている音楽はね。
今は、そんな音楽がグイグイきている。
普通のフォーマットから抜け出せない音楽なんつーのは、もう終わって
るんだよね。
音楽やるのに必要なのは『意思』とエネルギーだけなんだ。

F:ウンウン。

D:もう世界は完全な混沌(カオス)に突入してて、それが当たり前の
環境にいるんだから。
昔を懐かしんだり、昔と同じ事やっててもどうしようもないんだよね。
アメリカからは面白いバンドが出て来てて、それがロックの進化の鍵に
なるでしょう。
音楽のスタイルは様々だけど、みんなが好き勝手な事を『やり切ろう』
としてて、
カオスを体現している。
そして、何と言っても圧倒的にライブが良い。とても肉体的。フィジカ
ルなんです。
やっぱアメリカ人の突き抜け方は、どこか半端じゃないんだよね。

S:なんでなんでしょうね?

D:思うに、9.11の影響がどこかにあるんじゃないかな。
象徴の崩壊。経済も殆ど同時に崩壊。あれは本当に大きな事件だから。
今いる『世界』が本物かどうかわからないっていう位にさ。
でも、その混沌を自分達の事として受け止めて、『やっぱ好きな事をト
コトンやんなきゃ』みたいな方向に行ってるんじゃない?
『未来に担保を預けている』と言っても良い。過去は俺達ダメだったか
ら、未来に希望をというかね・・・
その破れかぶれなポジティヴィティが物事を前進させるのでしょう。オ
バマが大統領になるのもその一つの現れでしょう。
彼らは無意識の内に気付いているんだろうね。
過去では無く、未来だって事を....。

F:なるほどねぇ。日本はどうなんだろう。

D:日本人にとってアレは海の向こうの事件だからね、リアリティーを
持ち得ないですよね。
しかし、日本でもあったんだけど。地下鉄サリン事件や、阪神淡路大震
災みたいな崩壊が。
でもなかなか人間がシッカリしているというか(笑)、未だに真剣に前
進しよう/変わって行こうという意思は見えないですよね。
ダメだねー。
音楽業界やバンドのダメさも、そういうメンタリティーと無関係でない
と思います。
みんなもっとチャレンジして、周りを顧みない『自分が最高にカッコイ
イ』と思えるものを作っていかないと。
真似してたり、安全パイを振っててはダメです!ダメったらダメです。

F:音楽業界、ダメですかね。
自分が変わり、音楽自体も変わっていかなければいけないのに、
過去ばかり手本にするからね...。
話しを戻しますが、
肉体的なものが、圧倒的なライブを生む。
と、先程の話に出ていましたが、日本人とアメリカ人の差としては、
一つどこにあると思いますか?

D:昔、よく言われていたのだけど、
アメリカや海外でレコーディングしたら、電圧が違うから良い音が録れ
たって(笑)。
馬鹿な事言ってるなぁと思う。そうじゃ無くて、『人間の電圧』が違う
んだよね。
それに尽きると思いますね。個人個人のエネルギーの強さなんだよね。
特にロックはそれ抜きでは成り立たないでしょう?
まずはそのプリミティブで純粋なエネルギーが必要なんです。
人の心の奥底にある強い欲求、その欲求を音楽という具体的なヴィジョ
ンに置き換える作業なんだから。
それなくして、どんな面白いものが出来るのかっていうもんです。
メロディーが良い、とか聴きやすい、とか、そんなもんはガラクタの山
みたいにいくらでも転がっていて、
すぐ何かと交換がきいてしまうもの。
人の切実な思いというのは、それこそ何とも換えようがないものでしょ
う。
聴きやすい、分かりやすい、人気のあるものを手本にして、
それをモデルケースにして音楽を作っている。
そんなものに一体どんな価値があるっていうんだろう?
音楽をやる目的は、やはり音楽をやりたいという欲求であるべきですよ
ね。

F:形骸化するな!って事ですね。

D:そう、スーパー・アナーキズムです!(笑)
自分の持っている価値観を壊すくらいの。
過去の価値観にしばられていると、新しいものは出来ないですよ。
でも、じきに来ます。日本もそうなっていくと信じたい。あと15
年くらいかかるかもしれないけれど。
そうじゃなきゃ、日本は滅びた方が良いね。(笑)

S:ドンさんの予言があたるか!?

D&F&S:一同(爆)

その後....どんどん話は深くなり...酒も飲んでいないのに、
歴史の話へ、しかも..縄文時代まで辿り着き...
20分くらい縄文時代から、戦国時代、ヨーロッパ、クラッシックの話迄、
織りまぜ、こねまわし、練り固めてた後に...

F:SEX、DRAGS& ROCK'N ROLL って言います。
ロックにあまり健康なイメージはないですが...

そうそう。
以前に聞いた事がありますが、
ドンさんは毎日早寝早起きで24時以降は酒を飲まず、
走り込んで、健康な生活を心がけてるって....

D:そうです。
今はすべての状況が病んでるんです、とてもナチュラルに。
魂は病んでるんですよ。普通の人の魂が病んでるんです。
そしてそれが普通なんです。

SEX、DRAGS& ROCK'N ROLL って時代じゃないんですね。
その頃は、世界が今より健全であったから、不健全でいる必要があった。
周りの世界に"NO!!"の意思表示する為に。
今はもう誰もがナチュラルに病んでるんです。
だから、それを抱えて表現へと持っていく為に、肉体的には健全である
べきなんじゃないかな。
そうしないと、『病み』に飲み込まれてしまうような気がする。

S:深い...

D:70年代、マイルス・ディビスは混沌を音楽で表現した。
その混沌音楽が、今はカッコ良く聴かれているし、オシャレなカフェの
BGMだもの。
そんな時代なんだから、今は。混沌や『病み』なんてアタリマエなんだ
から。
ドラッグなんてやってたら、ひたすら飲み込まれていってしまいますよ。
未来に向かって進んで行く為には、『病み』を抱えつつ健全な肉体でい
ないと。
ロックは前に進む音楽ですからね!

F:ロックが「死語」と言う人たちもいますが...

D:そう言う人たちこそが止まっているんですよ。
ストーンズしか知らないんじゃないのかな。(笑)
どうあってもロックの本質も変わらないです。
前進すして、時代ともに変化し続けるんです。
今はもう未来なんだから。

S&F:ライブが証明してますね!!
これからも肉体的なライブを!!

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編集後記・・・・

実はこの対談は6月中に発表する予定でしたが、
ついつい仕事に終われ、今頃になってしまいました。
ドンさんゴメンなさい!!

この後ズボンズは3週間のカナダ・ツアーへ、
そして、7月7日にツアー凱旋ライブがGBで行われ、
大成功をおさめています。
ズボンズという怪物は進化し続けてます。
更まる進化を遂げて帰国したズボンズを、
生で体感するべし!!
毎週火曜日はズボンズ@GBだ!!

用務員

 



-----ドン・マツオ×GB の、「やるぜ!」--------

5月7日 第一回集会 @ ROCK JOINT GB
出席:ドン・マツオ(ズボンズ)
   先本(GB店長)
   藤崎(MANDALA GROUP 用務員)

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4月より毎週火曜日にGBにてライブを行っている、
日本屈指の世界標準バンド「スボンズ」。

先日、そのリーダーであり、
頭脳、官能の要である、
ドン・マツオ氏と語る機会を設け、
GB店長先本、そして私(藤崎)の3人で、
「これからどうすんだよ」を、
テーマに語り合ってみました。
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ドン・マツオ(以後DM)
「今の現場はなかなか大変な状態だよ。
地方にいくと良く判るし、東京だって酷い」

藤崎(以後F)
「何が大変?」

DM
「ライブハウスに足運ぶ人が少なくなってるし、
ましてや、客を圧倒するような事をバンドがやってないでしょう」

F
「それは感じる。GBがオープンして1年になるが、
全く緊張感の無い、近所のコンビニにでもいく様な格好して、
ステージに上がってもグデグデな奴らいるよね」

DM
「ちょうど新しいズボンズのドラマーが若い子なんだけど、
最初は今時の感じで、ブカブカのジーンズ、
ブカブカのパーカーなんか 着てやっててね。
で言ったんだよ「お前そんな格好じゃ、
ブカブカの音しか出せないよ。」って。
最近は随分と引き締まって来た。(笑)
ロックバンドだからって凄い格好しなきゃとは思わないんだけど、
誰かとか、何かと同じ人間に見えるようじゃ駄目なんだよね。」

F
「4月の末の火曜日のズボンズ見てて、
『おっ、これは!!』と感じま したが、
その時辺りから変化が見えて来たような気がしますね。」

先本(以後S)
「毎週だと、そういったバンドの変化がナマ(生)で
体感出来ていいで すよ―
本来は、そう言ったライブがいつも繰り広げられているのが理想ですね。
予定調和で無くね」

DM
「予定調和、多いね。
バンドの子らもできるだけ周囲との摩擦を少なくしたいみたいだな。
礼儀正しくて感じは良いんだけど、突き抜けるものが見えない。
日本の音楽現場は衰弱してるかもね。」

F
「これはメジャーフィールドにいえる事では無く、
我々、ライブハウスにも原因があるんですよ。
演奏時間=ノルマ数で、平気で H.Pでバンド募集している店や、
この日空いてるから、ここ出れるバンド〜って、公にあっけらかんと、
出しちゃってる店があります。名誉の為に言っておくと、うちは違いますよ!」

DM
「ライブハウスも大変なの判るけどね...
でもバンドに必要なのは、ステージに上がる意気込みというか、気合いか。

お客さんもね、確かにコールアンドレスポンスをして判り易くしてあげ
ると喜ぶんだけど、オレ達はやめたんだよね。
「音」で表現して、音で感じさせる事が出来ないと駄目なんだと思って、
結局。GBでも毎回挑戦に次ぐ挑戦ですよ。(笑)」

S
「そういうライブが毎夜毎夜おこなわれるのって、
ライブハウス名利につきますね〜。そうしたいですね!」

F
「ちょと前に、英字の新聞を見た事があります。
あれは、どこか海外でのギグを地元新聞が記事にしてたものですよね?」

DM
「あぁ、カナダの新聞。オレ達、一面トップだよー。(笑)」

F
「やっぱりドンさんが言う所の、「音」で勝負して、
奴らに響いたからこそ、メディアが注目したんでしょうし、
新聞一面に出すだけの価値というか、意味があったんでしょう。」

DM
「まぁ、音楽に対する楽しみ方の違いだよね。
日本のそれは、やっぱり窮屈なんだよね。
どうしても音楽そのものというより、
イメージなんかが勝利しちゃうところがあるものね。」

F
「そうそう、ズボンズはこの夏も海外いくんですよね」

DM
「6月にカナダで7ケ所13公演」

S
「じゃあそこに向けて、今GBで毎週積み重ねているんですね!」

DM
「自らのスタイルの確認とどこまで突き詰める事ができるか。
ズボンズは週単位で変化し続けている。
それを常に現場で育んでいけるのは有り難いですね、リハのスタジオでなく。
なんたって実弾の飛ぶ戦場みたいなものだから。」

F
「では最後に、毎週のGB。そして、これからのズボンズの展望を」

DM
「そうだ!火曜日のライブの後でもいいから、RECさせてくんない?。
一発撮りでさぁ。GBの空気感。そのままを録りたいよね!」

S
「OK!!。ぜひやりましょ〜!!」

DM
「で、ライブも毎週録画して、YouTubeに更新していこうよ。
この場所で、積み重ねている事を、目に見える形で発信していこう。
便利なツールは使わないとね。(笑)

なぜなら、僕らはいつでもエッヂの上に立っている。
だからいつも真剣に闘っているんだ。
ステージに立つのは戦いなんだよ、結局ね。
それを伝えないと。」

F
「どこかの子が、
"音楽に勝ち負けなんてない"って言ってるのを聞きますが、
その事についてはどう考えますか?」

DM
「勝ち負けではない、とは言え、闘うって事は勝ちにいくって事だよね。(笑)
まぁ、オレは誰にも負けたくないね。(笑)」

一同、うなずき合う。

 

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次回をお楽しみに!!

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対談後記...

ドンさん熱い!!ズボンズは本物です。
そんなバンドと一緒に事を造り上げれるなんて、
最高の誉れだ!

俺は昔、曼荼羅という店で、「パブタイム」という時間を設けていた。
つまり、ライブが終わって後の時間の事だ。
22:00〜25:00頃迄、チャージ無料のライブをやる。
しかも、月曜日から土曜日までレギュラーがいてさ、
毎週月曜日にくれば、決まって同じ奴が歌ってるんだ。
素晴らしい時間だったさ。
最高のブルースが聞けてさ。極上のバラードに泣けた。

そんな時、
俺はこのカウンターにある人物を招きたくなった。
古びた曼荼羅のカウンターで、バーボンを傾けている彼の姿が脳裏に浮
かんだんだ。
彼の名前はボブ・デュラン。

あくる朝から、手紙を書いたさ。
恥ずかしいくらいに熱いメッセージをね。
「うちの酒は旨いよ。だから遊びにきなよ。もちろんいい音楽は揃って
るよ」ってさ。
仲間に英語に訳してもらって...
彼が日本に来てる事をしって、
三日三晩追い掛けたね。ライブ会場の出入口で待ってさ。
いまじゃきっとストーカー行為で、手が後ろに回っているだろうね(笑)

三日目のオテルオークラのロビー。
諦めかけてたその時、彼は俺の横を通り抜けた。
大男を二人従えてね。

片言の英語で必死に訴えかけた、
案外、大男も俺には無抵抗(関心)だったからね。
そうだね...100メートルも一緒に歩いた。
そして、手紙と店の写真を渡してさ。

で、彼は来たかって?吉祥寺に?

来る訳ないさ。

夢には見たけどさ、
曼荼羅の入り口にロングボディのロールス・ロイスが停まるのをね。

かれこれ、
20年近く前の昔話。

しかし、俺は今も、
彼が来るのを待っているのかもしれない。

だから、ライブハウスを続けられているのかも...
だから、ここに毎月毎週来る奴らが大切なのです。

藤崎 用務員

 

左:ドン・マツオ氏
中奥:先本店長
右:用務員